「あだ名で、はくさい(歯臭い)と呼ばれた。」(※後述の調査結果から引用)ことありませんか?
そんな悲劇を生んでしまうこともある、口臭。
2009年にグリコが行った調査では、汗臭さや足の臭いを抑えて堂々の「気になる臭いNO.1」に選ばれています。
しかも、口臭がひどいほど、嗅覚疲労により自分自身では感じなくなってしまうことがあるんです。
今回は、その口臭をとても簡単にチェック・予防できる方法と歯を失う原因のトップである「歯周病」を予防する方法を紹介します。
口臭
口臭とは
厚生労働省によると、「口臭」とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されています。
社会的容認限度を超える悪臭。。。
「口臭ハラスメント」という言葉もあるくらいなので、自分でも気を付けたいですね!
口臭の原因は
口臭の大部分(80%以上)は、口腔内の気体が原因です。
これら気体は、口の内に生息している嫌気性菌と言われるものが、磨き残しの食べ物や唾液等の中に含まれるアミノ酸を分解・腐敗することで発生します。
ちなみに、このほとんどが舌苔(ぜったい:舌の汚れ)や歯周病の患部で作られています。
周囲からはどう思われるか
皆さん何かしらの形で自ら体験されていると思うので、あらためて確認するまでも無いと思いますが、ネットリサーチのDIMSDRIVEが2017年3月に4,000人超を対象に行った調査では、約8割の人が他人の口臭が気になると回答しています。
相手の口臭が気になるシーンは、以下のとおりです。
1対1で話している時 89.2% 電車、バス、エレベーター内など他人が近くにいる時 36.6% グループで話をしている時 25.5%
引用:「口臭ケア」に関するアンケート(DIMSDRIVE)※4位以下は割愛
やはり1対1で話す時が一番気になるみたいですね。
1対1だと露骨に顔をそむけることもできませんし、相手に指摘することもできないので、相手にとってかなりのストレスを与えることになっているでしょう。
30代男性の悲しいギャップ
2016年6月に日本歯科医師会が全国1万人を対象に行った調査でも、自分の口臭が気になると回答している人は、全体で8割を超えています。
ただし、この調査を30代に限ってみると、気になると答えている男性は75%、女性は89%となっており、男女間で14%も差があるんです!
これは、他の年代と比べても1番大きな差となっており、知らぬ間に女性からマイナス評価を受けている可能性も高いので、30代男性としては特に口臭に気を付けたいところですね。
放置しておくと
冒頭でもあげておりますが、日本歯科医師会が行った同調査では、下記のような悲しい結果があげられています。
・「あだ名が、はくさい(歯臭い)と呼ばれた。」(男性、35歳、パート・アルバイト)
・「ずっと好きだった恋人に口臭が原因で振られました。」(男性、27歳、会社員(事務系))
・「20才の頃、キスしたときに、臭いが気になると言われて、キスするのが怖くなりました。」(女性、39歳、専業主婦)
・「キスを拒まれた。」(女性、25歳、専業主婦)
引用:「10代〜70代の男女1万人に聞く、お口の臭い調査」(公益社団法人日本歯科医師会)
これは辛すぎる。。
しかも、グリコが行った調査では、口臭が原因でつきあいをやめたり避けたりするようになったと答えている人が13%以上もいます。そのうち、職場の同僚や同級生と答えている人が3割以上です。
30代ともなれば、職場で中心的な役割を与えられることも出てくるでしょうから、仕事で良いパフォーマンスを出すためにも気を付けたいところですね。
歯周病
歯の大切さ
「8020運動」って聞いたことありませんか?
1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。20本以上の 歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動 が始まりました。
引用:日本歯科医師会
1989年から始まっているこの運動ですが、開始当初の達成率は7%(残っている歯が4,5本)でして、2005年でも達成率は25%(6,7本)となっています。
2022年の「目標」が達成率50%(14本)とされている状況ですが、これをご存知でしたか?
つまり、通常28本ある歯ですが、80歳までには大部分を失っているということです。
歯を失う原因
「虫歯が多いのかなー。」とイメージする方が多いと思うのですが、実は、30代後半で2割以上、その後どんどん増えて40代後半では、歯を失う原因の半分近くが歯周病です。
なお、10代後半からすでに8割近くの方が歯周病の所見がみられるとされており、この歯周病が徐々に悪化していった結果、30代後半から歯周病を原因として歯を失うという結果を招いてしまっていると考えられます。
参考:8020推進財団 HP
歯周病の原因は
歯を失う主な原因となってしまう「歯周病」。
その原因は、歯垢(プラーク)や歯石です。
歯垢は細菌のかたまりであり、わずか1mg中に10億もの細菌が含まれているといわれています。(歯石は、その歯垢が固まったものです。)
その細菌の中に、歯周病の原因菌がいます。
虫歯よりも怖い
前述のとおり、歯周病は10代後半から約8割の人に所見がみられるのですが、虫歯と違って痛みをほとんど感じません。
このため、自覚症状なく重度の歯周病を患ってしまう方が多くなっています。(歯周病は口臭にも関係していますので、自覚症状が無いのに、口臭を指摘される場合には歯周病が原因である可能性も高いとのことです。)
歯を失うことの影響
歯を失ってしまうと、自分の歯で食べ物を食べる楽しみが無くなってしまうだけではありません。
年々歯を失っていき、咬む能力が無くなると、体にも影響を与えます。咀嚼できないことによる胃腸への負担や、脳への血流不足による思考能力の低下などが一例ですが、アルツハイマーの原因の一つともいわれています。
引用:インプラントネット
口臭のチェック方法
自覚していない可能性もある口臭ですが、歯垢を確認することでチェックすることができます。
普通に歯磨きをしていても表面にある歯垢は取り除かれていると思うので、チェックのためには普段の歯磨きでは落とすことができない歯と歯の間や、歯と歯茎の間に残った歯垢を確認する必要がありますが、そのために、「歯間ブラシ」や「糸ようじ」を用います。
やり方は簡単
歯間ブラシや糸ようじを使用した後に歯間ブラシ等の臭いを嗅いでみてください。(特に奥歯や自分で臭いの気になっている部分は要チェックです。)
単純にその臭い(歯垢)が常に口の中にずっとあるということですので、使用した後の歯間ブラシや糸ようじが臭い場合には口臭として外にも影響している可能性が十分にあります。
歯間ブラシは、口臭・歯周病予防に効果的!
歯ブラシの届かない場所にも
歯間ブラシで歯垢が取れましたよね?
それはつまり、通常の歯ブラシでの歯磨きでは取れない歯垢があるということです。(特に歯が大きい奥歯側は歯と歯の間まで歯ブラシが届いていないことが多いです。)
一般的に、歯ブラシによる歯磨きでの歯垢の除去率は58%しかないと言われていますが、歯間ブラシと併用することで、歯垢除去率を95%まで高めることができるとされています。(※)
歯ブラシできちんと歯磨きしても58%って想像していたよりもだいぶ低くありませんでしたか?
なお、歯間ブラシを併用しても完全には除去できませんので、歯医者さんの定期検診を受けてしっかりクリーニングしてもらいましょう。
※参考資料:山本他日本歯周病誌1975
複数回利用できる
歯間ブラシは使い捨てではありません。
個人差はありますが、1~2週間程度は使用が可能です。
大きさや形状や素材を選べる
歯間ブラシの大きさは、SSSS ~ L まであります。
形状は、「L字型」と「I字型」の2種類があります。
素材は、「ワイヤーにブラシを付けたもの」と「ゴム」の2種類があります。
携帯にも便利
歯間ブラシはそれ単体で使用できますし、多くの商品には携帯用のケースも付属されています。
購入する際には、携帯用ケースが付いているかどうかも確認してみましょう。
すっきり感が違う
私は20代後半から、歯ブラシで入念に歯磨きやリステリンをしても翌朝口の中にべたつきを感じたり、ふとした時に口臭を感じることがありました。
自分では入念に歯磨きしているつもりでも、実際に歯間ブラシを試してみたら歯垢がかなり残っていたりします。(特に奥歯側)
ただし、この歯垢を取り去ると本当に口の中がすっきりして気持ちが良いですよ!
一旦、この快感を知ってしまうと、歯間ブラシなしでは気持ち悪く感じるくらいです。
おすすめの歯間ブラシ
大きさ
初めて使う場合には、隙間がほとんど無い(これは歯肉炎などで歯茎が腫れているためです)ことが多いので、一番小さいSSSS(フォーエス)をお勧めします。
最初は血が出るかもしれないのですが、続けていくと歯垢が除去され、歯茎の腫れも引いて血も出なくなりますよ!
形状
最初は、奥歯にも使いやすいL字型を使用していたのですが、I字型もワイヤー部分を折り曲げてL字型のように使えることを知ってからは、I字型ばかり使っています。
I字型だと前歯側もやりやすいですし、奥歯も折ればちゃんと使えるので扱いやすいです。
かなり折ったり戻したりして使っていますが、ワイヤーが丈夫なので切れたりすることはありません。
素材
ワイヤーがおすすめですが、痛みを感じる場合にはゴム製のものを試してみると良いと思います。
使用する際の注意点
隙間の大きさはさまざま
歯茎の腫れにより隙間が無いことが多いのですが、正常な場合でも隙間が無いケースもあります。
無理に通そうとせずに、痛みを感じた場合は使用をやめて糸ようじに変えましょう。
また、場所(前歯や奥歯)や隙間の大きさに応じて適切なサイズの糸ようじを使い分けることができればなお良いです。
歯を残すためには
歯垢を除去するのが一番です!
歯ブラシを使った歯磨きでは、歯垢は58%しか除去できませんが、歯間ブラシを併用すれば95%が除去できます。
あと、3か月に1回程度は歯医者さんで定期検診と歯石のクリーニングを受けましょう!
※歯石は素人が取り除くのは困難ですが、歯石も細菌の塊であることに変わりはありません。細菌が増殖する前に適切に除去してもらいましょう。